小売業の仕入れ方式

小売業の仕入れ方式

小売業の主な仕入れ方式は4つ。どちらがリスクを負うかで小売業と卸売業の取り分も決まる。

小売業の衣料品の仕入れ方式は大きく3つに分かれる。一般に「買い取り」「委託」「消化」と呼ばれる。買い取りは文字どおり、小売店が仕入先から商品を買い取る方式だ。納入された商品は小売店の所有となる。小売店は仕入れ価格(下代)に自分の利益分を上乗せして小売価格(上代)を決める。委託は、日本の百貨店とアパレルメーカーが独自に形成した方式で、「返品条件付き買い取り」ともいう。納品された商品は小売店の所有となるが、売れ残った商品については仕入先に返品することができる。小売価格の決定権は仕入先がもっている。消化は、「売上仕入れ」とも呼ばれる。小売店は店頭で商品が売れた(消化した)分だけ、仕入れに計上する。納品された商品の所有権は仕入先の側にある。もちろん小売価格も仕入先が決定する。

3つの仕入れ方式は、最終処分のリスクという面から2つに区分できる。買い取りの場合は売れ残った商品についても小売店の側が責任を負う。これに対して委託と消化の場合は仕入先が最終処分のリスクを負う。この区分によって小売価格を決める権利(価格決定権)や値入れ率(仕入れ価格と小売価格の差)などの大枠が決まる。

価格決定権は最終処分のリスクを負う側がもっ。買い取りなら小売店が自由に価格を決めることができるが、委託と消化では小売側に価格決定権はない。

小売店の値入れ率は、買い取りが高く、委託、消化の順で低くなる。リスクが大きいほど、利幅も大きくなるわけだ。ただし、当初の値入れ率が最終の売買差益率に直結するとは限らない。

買い取った商品が大量に売れ残った場合、最終の売買差益率は大幅に低下してしまう。販売経費は買い取りが大きく、委託、消化の順に小さくなる。買い取りの商品は自社で宣伝し、販売することになるが、委託や消化の商品は仕入先が宣伝してくれるし、派遣店員などもつく。

仕入れ方式の違いは品揃えの主導権にもかかわる。買い取りの場合は小売店が自分の意思で商品を揃えるが、委託の場合は仕入先の意向が強く反映される。消化の場合は完全に仕入先が主導権を握る。リスクの大きさが品揃えの主導権に直結する。

百貨店とアパレルの取引では、第4の仕入れ方式も登場している。日本百貨店協会と日本アパレル産業協会が共同で策定したもので、一般に「消化率契約」と呼ばれる。事前に百貨店が消化率、アパレルが納品率を約束し、相互で確認した水準に達しなかった場合はペナルティーを支払う。アパレルは一定の消化率が約束されているので安心して商品を生産、納品できる。百貨店は消化率約束のリスクを負うことで発注した商品を確実に売り場に投入できる。

消化率契約を加えた4つの仕入れ方式のうち、委託の比率は急速に低下している。百貨店は委託中心だったが、消化の比率が急速に高まっており、専門店の業界では買い取りが増加している。

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